RFIDテスターの機能および技術をご紹介。
RFIDテスターにはそれぞれのアプリケーションに応じて
リーダーエミュレータ、タグエミュレータ、スニファーテスターの3つテストモードがあります。
リーダーエミュレータ(タグテスト)
このテストシステムはリーダーとして動作します。コマンド信号を送信し、タグからのレスポンスを受信します。
コーディング、変調、タイミングなどのパラメータはリーダーエミュレータによって模擬されます。
この構成はRFIDタグのR&D試験やコンファーマンス試験などに適しています。
タグエミュレータ(リーダーテスト)
このテストシステムはRFIDタグとして動作します。リーダーからコマンドを受信し、リーダーにレスポンスを送信します。
ターンアラウンドタイムと応答振幅はこのタグエミュレータによって調整されます。
この構成はRFIDリーダーのR&D試験やコンファーマンス試験に適しています。
スニファーテスター(タグ、リーダーテスト)
このテストシステムはRFID信号のモニタリングシステム(スニファー)として動作します。
リーダーとタグ間のコマンドとレスポンスの信号を受信し解析します。
この構成はRFIDリーダー、タグのコンファーマンス試験、RFIDアプリケーション環境のパフォーマンス試験に適しています。
RFIDタグテスターの機能を利用してUHF帯RFIDタグ読み取り距離を算出します。
必要なパラメーターは主に | ||
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システム構成は以下のようになります。
[ 算出手順 ]
①キャリブレーション実行
②各パラメータの値を補正
③以下の式を用いて読取距離を算出します。
タグ感度=EIRPtx-自由空間伝搬損失
読取距離(前方)=r*10^[(35-EIRPtx)/20]
読取距離(後方)=r*10^[110+RIPrx-EIRPtx)/10]^1/4
自由空間伝搬損失=20*log(F)+20*log(r)-147.5
r:リーダーアンテナとタグとの距離
想定するリーダーEIRP出力=35dBm(4W以下):リーダーによって異なる
想定するリーダーRIP出力= -75dBm:リーダーによって異なる
[ 補足説明 ]
EIRPtx: Effective isotropic radiated power from transmitter(dBm)
(等価等放射電力)アンテナゲイン0dBi(理想アンテナ)における送信電力
RIPrx: Received isotropic radiated power at receiver(dBm)
(等放射受信電力)アンテナゲイン0dBi(理想アンテナ)における受信電力
Tag Sensitivity(dBm): タグの感度を意味し、最小タグ応答パワー時のタグに届くリーダー信号の電力を示しています。
Read Range Fw(m): 前方読取距離を意味しています。
Read Range Bw(m): 後方読取距離を意味しています。
RFIDテスターのタグテストシステムにはタグが起動する最小電力と自由空間における信号のロスからタグの感度を算出する機能があります。
このとき、RFIDテスターはフリスの公式を用いて自由空間伝搬損失(エアー間における信号のロス)を求めています。
フリスの公式による自由空間伝搬損失を求める計算は以下のようになります。
L=(4πr/λ)^2
L:自由空間伝搬損失[W] r:送信アンテナと受信側(アンテナやタグ)との距離[m] λ:波長[m]
使用するデータが対数表記の場合SI表記に直して使用します。
この式を展開し、デシベルに直すと以下のようになります。
L=10log(4πr/λ)^2 λ=f/vなので
L=20log(4πrf/v)
L=20log4π+20log(r)+20log(f)-20log(v) となり計算を行うと
L=20log(f)+20log(r)-147.5となります。
L:自由空間伝搬損失[dBm] f:周波数[Hz] v:光の速さ[Hz] (300MHzで計算しています)
フリスの伝達公式を有効に利用することで自由空間伝搬損失のほかに、受信電力や自由空間における利得など算出することが可能となります。