開発事例

  1. ペリテック
  2. 実績紹介
  3. 開発事例 24

事例24

システム構成図 印刷印刷

課題

電源検査システムを構築するにあたり、顧客より次の点を要求されました。

1. 1台の検査時間を従来の1/4にしたい。
2. パソコン、汎用測定機、ボード等の設備予算は1台分で。
3. プログラム開発費は従来の試験(1台独立)と同等。

本システムにおいて、検査コストを下げることはお客様からの強い要求でした。検査コストを下げるためには、1台当たりの検査時間を短縮することが必要となります。
また、検査項目は次の4つの項目です。

1. 電圧変動検査
2. 過電流保護検査
3. 過電圧保護検査
4. リップルノイズ測定検査

この検査時間の短縮については、単純に同じシステムを複数台用意することで、1台当たりの検査時間を短縮することは可能ですが、1台分の設備の費用では実現することができません。そこで、設備は1台分を用意して、ハード的に切替える機能を実現させたとしても、ソフト上で複数台同時に制御するためには、ハードウェアに対して排他的な処理を行う必要があり、非常に複雑な処理となりプログラム開発費用は3倍以上に大きくなることが予想されました。

システム構成

検査システムの開発には、NI(旧社名:National Instruments)のLabVIEWを使用しました。
電圧・電流の測定には、GPIB制御のデジタルマルチメータを考えていましたが、検査時間の短縮を実現するために、NIのPCI-6025Eを使用することを検討しました。検査システムアプリケーションの全てをLabVIEWで開発する予定でしたが、NIのTestStandを知り、その機能を調べていくうちに、TestStandを使用することで、問題点が全て解決してしまうことがわかりました。そこで、検査システムアプリケーションには、TestStandを使用して、実際に制御・測定を行う試験モジュールはLabVIEWで開発しました。
本システムでは最大4台まで電源基板を同時検査(接続)することが可能で、マルチプレクサの機能を内蔵した、インタフェースBoxを介して各測定器に接続されます。

結果

[ 汎用電源検査システムの問題点と解決方法 ]
本システムでは、お客様から要求されている内容から、1台分の設備(ハードウェア環境)で、複数台同時に検査を行う必要性がありました。そこで、測定器及びPCについては1台で、4台同時に検査できるようにハードウェアを作成しました。 検査する4台は、インタフェースBoxに接続され、その中にマルチプレクサを用意して、4台独立で動作する構造としました。この4台完全に独立して動作させるマルチプレクサの部分は、実現するにあたって苦労したところです。 あとは、ソフトウェアで4台同時に並列処理をさせることが問題として残りました。 前記の通り、NIのTestStandを知り、その機能を調べていくうちに、「マルチスレッド機能」があり、これを活用すればすべての要求を実現できそうだ、ということがわかりました。しかし、公開されている資料が少なく、また日本語版公開前であったため、マニュアルが英文ということもあり、大変な苦労はしましたが、なんとか「マルチスレッド機能」を実現することができました。さらにもうひとつ問題が発生しました。 測定時間短縮の為にDAQボード(PCI-6025E)を採用したのですが、相対精度は保証できるが絶対精度は保証できないということです。 そこでこの問題に対しては、検査の最初にDAQボードの校正を行い、その測定値の差を補正値として持ち、絶対精度を保証する方式としました。校正を行うためにデジタルマルチメータを使用することにしました。 この校正用デジタルマルチメータとリップルノイズメータのGPIB制御には、NIのPCI-GPIBを使用しました。

[ 汎用電源検査システムのメリット ]
TestStandを検査システムの開発に使用したため、次の利点がありました。 並列処理による検査時間の短縮については、TestStandのマルチスレッド機能を使用することにより目標の検査時間を簡単にクリアすることができた。 試験モジュール開発(LabVIEW)は、各検査項目単位に分割できるのでバグのない高品質のプログラムを作成できた。 TestStand側で設定・判断できるので、設定・判定のプログラムを作成する必要がない。 TestStandのシーケンスエディタ機能で、検査項目を自由に入替え、削除、追加できるので将来の新製品に対応が簡単。 検査システムの重要な機能は、全てTestStand側で行ってくれるので、試験モジュールの開発(LabVIEW)に要する時間だけですみ、全体の開発工数は1/3に削減されました。尚且つ、短期間に安定性の高いシステムを構築することができました。

[ 汎用電源検査システムの評価 ]
開発工数・費用を削減することができ、また必要な機能(問題点)を全て満足するシステムを構築することができて、お客様からは非常に高い評価を頂いています。試験結果のレポートもHTML形式で保存することができ、他のPCからブラウザで簡単に閲覧できることも喜ばれています。 特に、TestStandのマルチスレッド機能には、本システムを開発するにあたって非常に有能な機能といえると思います。 この機能があったので、検査時間の短縮が目標どおり1/4に実現することができました。また、TestStandのシーケンスエディタ及びリミットローダ等につきましては、お客様側で操作、編集することが容易であり、お客様側で検査をカスタマイズできることも本システムの特徴でもあります。 さらに試験部門でのTestStandの採用は開発費用の短縮と工場単位、事業所単位で試験の標準化が同時に図れることになります。

お問い合わせ・お見積もり

▲ページトップへ