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事例07

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開発背景

電子部品メーカー様より次のような依頼がありました。「現在、工場内で稼動しているICテスターは、数千万円する。追加購入して稼動したいのだが、高価なのでNI(旧社名:National Instruments)の製品を使用して同等なICテスターを開発できないか」という内容の御相談でした。3 V電源のICなのでTTLレベル以外のデジタル信号制御が必要なのですが、装置構成と検査内容について検討を行った結果、NI製品を使用して稼動中のテスターと同等な機能を実現できる見通しが立ち、実際にテスターを開発して性能を比較することになりました。

課題

1. 端子ダイオードテスト、端子ショートテスト
2. ICとの通信
3.ICの機能テスト
4.DUT基板のリレー制御
5. 2個同時に試験できること
6. 1ヶ月でソフトウェアを完成させること

ソリューション

検査時間が開発のポイントとなります。ICテスターとしての機能を満足するとともに、検査時間も稼働中の装置と同等でなければなりません。目標は検査1回30秒でした。端子ダイオードテスト、端子ショートテスト以外の検査項目が45項目あり、各検査において、1.ICとの通信、2.信号発生器の設定、3.計測ボードを使用した計測を行うと45項目の検査だけで30秒くらいかかることが予想されました。問題は、端子ダイオードテスト・端子ショートテストにどれだけ時間がかかるかです。 端子ダイオードテスト・端子ショートテストは、スイッチ切り替えを60回、電圧と電流計測を30回行います。事前にプログラムを作成してテストしたところ、スイッチ(PXI-2503)とデジタルマルチメータ(PXI-4070)の組み合わせで1回の計測が10ミリ秒程度で実行できることがわかりました。GPIB制御のデジタルマルチメータを使用すると200ミリ秒位かかるので20倍速いです。最終的に端子ダイオードテスト・端子ショートテストは、1秒程度で検査できています。

結果

1. 端子ダイオードテスト、端子ショートテスト
スイッチ(NI PXI-2503)とデジタルマルチメータ(NI PXI-4070)を使用して実現することができました。

2. ICとの通信
デジタルパターンI/O(NI PXI-6551)を使用して、0~3 Vのデジタル信号制御を実現しました。このボードは、電圧レベルを-2.0 V~5.5 Vまで10 mVステップで 設定することができます。

3.ICの機能テスト
マルチファンクションDAQ(NI PXI-6281)、音響・振動解析用DAQ(NI PXI-4461)、カウンタ(NI PXI-6602)及びNI LabVIEWの解析関数(高調波アナライザ、実効 値など)を使用して機能テストを実現することができました。

4.DUT基板のリレー制御
デジタルI/O(NI PXI-6508)を使用し、中間にリレー駆動回路を入れて制御しています。また、上位ハンドラとの通信も、このデジタルI/Oで行いました。

5. 2個同時に試験できること
2個同時に試験するために、スイッチ、デジタルマルチメータ、音響・振動解析用DAQの各ボードを複数枚搭載しています。NI TestStandのマルチスレッド機能を使 用して、2個あるいはどちらか片方の試験を行う場合は、上位ハンドラからの指示をソフトウェアが認識して試験を実行し、合否判定結果を返します。

6. 1ヶ月でソフトウェアを完成させること
ソフトウェア開発にTestStandとLabVIEWを使用して開発期間の短縮を実現しています。

まとめ

1. 低電圧ICの制御に柔軟に対応できるNI製品
近年、電池を電源として動作するICの需要が増えてきています。携帯電話、デジタルカメラ、携帯音楽プレイヤーなどに使用されるICです。これらの装置には、低電圧で動作するICが組込まれています。低電圧で動作するICを検査するためには、TTLレベル以外のデジタル信号制御が必要となります。NI製品は、低電圧ICの制御にも柔軟に対応できることが、今回の開発で実証できました。

2. 機能と速度は同等で費用は10分の1
NI製品を使用して、現場で稼動中のICテスターと同等の装置を低価格で構築することができました。購入品を比較すると稼働中のICテスターの10分の1の費用で構築できたと聞いています。

3. ソフトウェア開発のコスト削減
ソフトウェア開発にNI TestStandとLabVIEWを使用して短期間でソフトウェアが構築できたことはもちろんですが、検査規格の変更や検査項目の追加、さらには新型ICの検査ソフト開発にNI TestStandとLabVIEWは、今後もコスト削減に威力を発揮していくと思います。

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